伯耆町には「日本最古」を名乗る鬼退治の伝説があります。桃太郎より、ずっと前の話。舞台は旧溝口の鬼住山(きずみやま)、標高326メートル。名前からして、もう鬼が住んでいます。

伝承のあらすじ — 武器は団子と笹だった

第七代・孝霊天皇の時代。鬼住山には鬼の兄弟が住みつき、里を荒らしていた——と伝わります。兄は大牛蟹(おおうしかに)、弟は乙牛蟹(おとうしかに)。名前に牛と蟹が入っているのがもう気になりますが、それはさておき。

天皇は鬼住山の向かいの笹苞山(さすとやま)に陣を張ります。そして力攻めではなく、こう来ました。

  1. 笹巻きの団子を3つ置く。匂いにつられて出てきた弟・乙牛蟹を矢で射る
  2. 残った兄には、笹の葉を山のように積んで風で飛ばす。体じゅうに笹がまとわりついたところへ、火を放つ

つまりこの伝説、力比べではなくて団子と笹の知略戦なんです。このサイトのあちこちでうさぎが鬼に笹団子を差し出しているのは、この話から来ています。

その後、里の人たちが笹の葉で屋根を葺いた社を建てたのが楽楽福神社(ささふくじんじゃ)の始まりと伝わります。孝霊天皇の一族を祀る神社で、いまも麓に建っています。

舞台を歩く

伝説の舞台は、ぜんぶ実際に行ける場所です。

場所は地図の朱色のピンからどうぞ。

いま見られるもの — 退治されたのに、いちばん愛されている

おもしろいのはここからで、溝口の町は退治されたはずの鬼で町おこしをしています。

鬼が悪役で終わらず、町の顔になっている。この伝説には、桃太郎の原型になったという説もあるそうです。

うさぎのひとこと:団子に釣られて出てきちゃう鬼、ちょっと憎めないでしょ。わたしも団子は断れません。


参考文献: