大山信仰の話では、山そのものを拝んだ人々と、門前のにぎわいにふれました。今度は、その大山へ向かう道の話です。

溝口から、大山へ続く道

大山にお参りするための道を、まとめて大山道(だいせんみち)と呼びます。四方からいくつもの道がのびていて、そのうち伯耆町を通るのが溝口道(みぞぐちみち)。出雲街道の溝口宿を起点に大山寺へ向かい、桝水(ますみず)あたりで横手道に合流していきました。

つまり伯耆町は、大山参りの玄関口のひとつだったわけです。

通ったのは、お参りの人だけじゃない

この道がおもしろいのは、信仰の道であると同時に、経済の道でもあったこと。

大山寺の門前では、かつて牛馬市(ぎゅうばいち)が開かれていました。それも、日本最大規模。牛や馬を曳いた博労(ばくろう=家畜商)たちが、この溝口道を通って大山へ集まったのです。「地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市」として、日本遺産の構成文化財にもなっています。

お地蔵さまへの祈りと、牛の取引。神聖なものと、暮らしのなまなましさが、同じ一本の道の上にあった。これが大山道の奥行きです。

いまの道で、辿ってみる

当時の道がそっくり残っているわけではありませんが、ルートをなぞって歩く・走ることはできます。溝口の町なかから大山を見上げながら、「ここを牛が登っていったのか」と思うだけで、景色が少し変わります。

モデルコースとして、現代の道で溝口道を辿る一日も組めそうです。

うさぎのひとこと:お参りの列のとなりを、牛がのっしのっし歩いてたんだって。想像すると、ちょっとにぎやかでいいなぁ。


参考文献: